食堂 長野屋
金曜の夜、特に予定もないので仕事終わりに新宿で夕食を済まそうと計画。
「懐かしの黄色いカツカレー」に興味があったので、新宿のノスタルジック食堂「長野屋」に行きました。
お店は新宿駅東南口前で、非常に存在感のある佇まいなのでご存知の方と多いと思います。1度見たら忘れられない昭和からタイムスリップしてきたような外観。

窓からは活気溢れる店内が伺えます。

いざ、入店。自動ドアでした。意外とハイテク。

店内は混雑していましたが、店員さんに「席ありますか」と確認をすると、運よく1人用テーブルが空いていました。ラッキー。
昭和感漂う店内。設備の全てが時代を感じさせるレトロな空間です。


ウインズ新宿(場外馬券売り場)が近いので、週末はギャンブラー達が酒を飲みながらテレビの競馬中継に熱中するはずです。

早速、カツカレーを注文しようとしたところ、なんと本日は品切れ。あぁ、残念。この空間で食べる黄色いカツカレーは絶品だったはずです。
と言っても私の頭の中は完全に昭和モード。昭和のご馳走であるカツ丼(990円)と瓶ビール小(500円)を頼むことにしました。
注文後、まずはビールが到着。小さなサイズのグラスも懐かしい(グラスではなくコップと言ったほうがよいかもしれません)。このコップでチビチビ飲むビールが最高に旨い。ビールはゴクゴクではなくチビチビ派です。


調理は2階で行っているようで、昇降機から料理が到着するとブザーが鳴ります。このけたたましさも昭和。
そしてカツ丼が着丼しました。うん、思い描いていた飾りっけの無いビジュアル。これですよ、求めていたのは。


まずはカツを一口。なるほど、豚肉は薄く赤身が多く、決して「美味しい」の部類には入らないかもしれません。ですが、これが求めていた味なんです。古き良き昭和のご馳走には肉の厚みもジューシーさも柔らかさも必要ないのです。

私が子供の頃はバブル景気のど真ん中。ですが庶民の暮らしはまだまだ質素で、外食のレパートリーも少なく、食堂でカツ丼も食べた記憶はありません。
でも頭の中で思い描くカツ丼は、いま食べているこのカツ丼なんですよね。食べた記憶はないのに、舌や身体が覚えている・・・。ということはこのカツ丼は自宅で食べた味なのかもしれません。そう、昭和の家庭の味ということです。

卵とじの火の入りかたも絶妙。出汁も薄味で「これでいいんだよ!」と唸る味。
ご飯にも出汁が染み込んでいてとても美味しい。出汁でコーティングされた柔らかい米を必死に掻き込み、ビールで流す。これぞ「ザ・大人」な食べ方です。
食べ続けると身体が熱くなってくるのがわかります。


味噌汁は豆腐とわかめ。まさに昭和の食卓の味噌汁。

そしてお漬物は黄色の沢庵ときゅうりのキューちゃん。こちらも昭和の食卓の定番。

カツ丼もビールも完食。ご馳走様でした。
正直、そこまで特筆すべき味ではないのですが、あの場所で食べるからこその感動や体験があり、「これが食べたかったんだよ!」を裏切らない旨さだといえます。

長野屋さんですが、なんと大正4年、1915年創業。2024年で109年目ということです。
それだけでもすごいことなのに、さらにすごいのがお客さんに若い人も多いこと。昭和レトロブームの影響もあると思いますが、老若男女問わず100年以上愛される食堂なのです。
止まらない再開発を繰り返し、ひたすら進化せざるを得ない新宿という街で、長野屋はいつまでも変わらないアナザースカイなのかもしれません。
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食堂 長野屋
【住所】東京都新宿区新宿3-35-7
【電話】03-3352-3927
【営業時間】 11:30~21:30
【定休日】水曜日